40代でアウトロー。それぞれのフィールドで独自の道を切り拓き、トップを走り続けている2人の“加藤”が仕事、世代、生き方を語る。


加藤鷹
1962年5月1日生まれ。
5,000本を超える作品に出演するカリスマAV男優。テレビ、ラジオ、Vシネマなどでも幅広く活躍し、著作も多数。その半生はコミック「その男、タカ〜加藤鷹ゴッドフィンガー伝説〜」として週刊プレイボーイ誌上で読むことができる。
http://www.katotaka.com/


加藤ひさし(THE COLLECTORS)
1960年11月22日生まれ。
日本モッズシーンを代表するバンド、ザ・コレクターズを1986年2月に結成。20周年を迎える現在まで、ボーカル兼リーダーとして精力的な活動を続けている。作家として、矢沢永吉らの楽曲の作詞も多数担当。
http://www.the-collectors.net/
■周りがバブルで俺だけ貧乏だった
加藤ひさし(以下ひ):きょうは苗字が同じ「加藤」同士の対談ということで。初対面ですけどよろしくお願いします。
加藤鷹(以下鷹):よろしくお願いします。
ひ:同い年くらいかな、と思ってたんだけど、鷹さんのほうが若いんですよね。僕が1960年生まれで……。
鷹:ぼくが62年ですね。
ひ:普段はどんな音楽を聴いてるんですか?
鷹:なんだろうな。70〜80年代の音楽ばっかりですよ。この前アースのコンサートに行ってきました。
ひ:アース・ウィンド&ファイアー?
鷹:ええ、僕は音楽の趣味は20歳くらいで止まったままですね。ひさしさんは?
ひ:俺が20歳というと1980年だからパンクロックが出てきて、一番ささくれている感じの時代だったのね。自分の中で一番暴力的な、アウトロー感覚が強い時代だった(笑)。音楽に関しては、俺もそこで止まっているといえば止まっているかなあ。
鷹:なるほど。
ひ:その頃はもうバンドをやってたんだけど、活動するのは今みたいに簡単じゃなかった。例えばレコードを出すには、まずプロにならなきゃならなかったわけですよ。インディーズっていうものがなかったから、すごく険しい登竜門をクリアしなくちゃならなかった。俺の中では青春時代に心に刻まれた引っ掻き傷があまりにも激しくて、その爪痕が深すぎるんで、あきらめきれずに長く音楽をやり続けてるんだと思う。最近になってそんな風に自分を分析してるんだけど。
鷹:音楽やっていた人はたいへんだったと思いますよ。今みたいにインディーズのレーベルがいっぱいある時代ではないし、メジャーになる確率って今と桁2つくらい違いますよね。
ひ:ホント違うね。だってレコード作れないんだもん。たとえ自主制作で作ったって置いてくれる店がないし、流通の手段がないし。やっぱり誰かの力を借りてデビューしなきゃならない。まあ、自分のやりたくないことでもやらなきゃいけないっていう時代だったんだよね。
鷹:すぐにデビューしたんですか?
ひ:いや、俺はね、なんか、もうミュージシャンなんて食えねぇっていうのは最初からわかってたから、大学卒業してからサラリーマン3年半もやったのよ。で、自分が25歳になるときに、あの頃の男の25歳ってすごく大人な気がしてて、ここで人生決めなきゃって思ってた。それがもう堅気になるのかバンドマンでひっくり返るのかどっちか決めようぜって思ったときに、やっぱりバンドマンを選んじゃったのね。それで俺、会社辞めちゃったのよ。だから金はあんまりなかったけど、やりたいことはやろうぜ!って思ってたよね。
鷹:俺も金はなかったですね。上京したときは、周りがバブルで僕だけ貧乏だった時代なんで。
ひ:それ、共通ですね。周りがバブルだったのに俺だけバブルを経験したことがない。だからバブルがはじけても怖くなかった。やっぱり金持ったことがないっていうのは強いんだよね(笑)。

■最初に持っていた情熱を温め続けるのが一番難しい
ひ:鷹さんは当時どうして上京したんですか?
鷹:うーん、上京したきっかけは3つくらいあって、ひとつはバンドを解散したこと、ひとつは女がいなくなったこと、ひとつは職を失ったこと。まあでも人生の転機ってそれくらいしかないでしょ、仕事か女か金か(笑)。僕の場合はその3つが一気に来たから、それで東京に出てきたんですね。
ひ:鷹さんってどんなバンドやってたの?
鷹:俺はドラムで、一応売れ線のロックバンドだったのかな(笑)。東芝も契約するって言ってて、財津和夫プロデュースでデビューするはずだったんです。85年か86年で今から20年前。だから解散のときはけっこうショックでかかったですね。
ひ:解散の理由は?
鷹:きっかけはキーボードの女が辞めるって言い始めたことからですね。それで女性不信になったっていうのもあるんですけど。でも今考えると、女だけが冷静に世の中を見てて、男だけが馬鹿な夢を追いかけていたという、そういうよくある構図ですよね。それからは基本的には僕は避けて通ってますね。
ひ:音楽を?
鷹:ええ、音楽辞めてからはカラオケも一度も歌ったことないですし。それ以来、歌を拒否し始めたんですね。捨てた夢を追わない男なんで(笑)。
ひ:なんかわかる気がしますね。あんまり好きすぎるとそうなるんじゃないかな。
鷹:でも、例えばほかのミュージシャンのコンサートとか、ちっちゃいライブハウスだとしても、観てるとうらやましいですね。めちゃめちゃうらやましい。だから自分のアダルトビデオとか観て喜んでくれている人もいるかもしれないけど、すごい小さく感じますね。
ひ:えー!?
鷹:うん、歌を歌って人がさわげたり盛り上がれるっていうことはとてつもないすごいことだと思ってます、それは今でもすごく思う。とにかく音楽やっている人はすごいです。
ひ:いやー、嬉しい言葉だけど、でもやってる側はつらいことも多いよね。
鷹:それもよくわかります(笑)。
ひ:やっぱり仕事としてやり続けていて一番怖いのは余裕がなくなってくることだね。最初は初期衝動で「こんな歌もあんな歌も歌ってやる!」「喜ばせてやる!」みたいな感じなんだけど、それが歳を重ねるごとに、体力も思考も固まってきて、ある程度こんなもんだろう、という状態になってきちゃうんだよね。そこの情熱を温め続けるのが一番難しい。
鷹:それはみんな持っている悩みでしょうね。友達のミュージシャンの話を聞いても自分たちがやりたい曲をやれているかというと、ほとんどそうじゃないっていう。やっぱり商売上、ビジネスとしてやっているものが九割以上。実際に自分がやりたい音楽をやっても売れないんじゃないかっていう不安はあると思いますよ。
ひ:一度売れたら、売れ続けなきゃならないからね。
鷹:それは僕ら映像の世界でもいっしょですよ。自分が表現したい・やりたいものと、監督に要求されて自分が今やらなくちゃいけないものがイコールなんてまず1%もないです。100本出て1本ないってことですよね。
ひ:確かにそうだよね。

■“3番目の答”がこれからの社会にすごく必要だと思う
ひ:鷹さんはどうしてAV男優になったの?
鷹:ああ、そのへんはミュージシャンなんかとはちょっと違いますよね。当時はなりたくてなった人ってあんまりいないんです。今の時代だから憧れたりっていうこともあるんですけど、僕らが男優になった当時はもうスタッフの一部で、みんなで「お前やれよ」みたいなそんな時代で(笑)、嫌がって逃げてたのに無理矢理出演させられてた人のほうが多いです。変わってきたのはバブルを過ぎてからですね。自分でこの仕事が向いているのかなぁって思い始めたのもここ4〜5年くらいですよ。
ひ:その気持ちわかるなあ。俺もデビューした当時、歌謡曲とかヒットチャートに対してアンチだった。ぜんぜんロックじゃないから。自分が聴いているのはイギリスの音楽だけなのに、自分の歌は日本語で作って日本語で歌う。そのなかで歌謡曲とは違うものすごいものを漠然と世の中に出したいっていう思いだけはあったのね。で、デビューしてアルバムをドンドン出して、でもヒットは出ない。俺やっぱり向いてないんじゃないのかなってずーっと思っていたわけ。でも、今年でデビュー19年、コレクターズ結成20年。それでメシ食っていられるっていうときに、ふと、なんかちょっと向いてたのかなっていうのを感じたんだよね。まだそんなに実感はないんだけど、多少向いてるのかなくらいは最近思うようになってきた。だって俺よりも若くてルックスのいい連中もいるのに、そいつらもっと売れてないわけよ。俺たちには「コレクターズが好きだ」って言ってくれる連中がいて、メシが食えてるっていう状況がある。そう思えたときは嬉しかったね。まあお袋は、今でも「就職しろ」って言うけどね。
鷹:なんかすごくわかります(笑)。
ひ:お盆と正月に帰るたびに「就職しろ」って言われるもんね。「お前もいつまでもドンチャカドンチャカやってる場合じゃないだろう」って言われるんだよ。
鷹:親っていくつになっても現実的ですからね。自分の子どもに対しては。
ひ:だからそのたびにね、「いいところがあったら世話してくれ」って親に言ってるんだけど、いまだにないんだよね、いいところが(笑)。結局さ、よくも悪くも家庭を持って子どもができると、自分だけじゃなくなるじゃない? 家族を守っていかなきゃならないし。俺は世代的に古いから「大草原の小さな家」のお父さんみたいな感じが頭に埋め込まれてるんだよ。男は強くなければいけないっていう気持ちがあるから、それがしんどいときがあるね。単純に不安定な職業だからさ、いつ子どもの学費が払えなくなるかわかんないという。
鷹:(笑)。
ひ:でも心配ごとはそれくらいかな。ほかは何もないね。
鷹:でしょうね。もともと僕らみたいな職業は、自分の好きなように生きてくのが基本だし。
ひ:そうそう、勝手にやってきたから。自分のことだけだったらどうにでもなる。
鷹:僕も今でも別に高田馬場の土方に並んでもいいやみたいな気分はありますね。「適当に生きる」っていうのが僕の目標なので(笑)。
ひ:(笑)。
鷹:「適当」っていうのは、自分ではすごくいい意味で言っているんです。今は適当が許されない社会じゃないですか。だから自分は適当に生きたいな、適当に仕事したいなっていう願望も含めて(笑)。
ひ:本当にいい言葉だよね、ジャストってことだもんね、適当って。
鷹:僕はいろんなジャンルの人とか、一般の人の悩みを聞いたりするケースも非常に多いんですけど、なんでそんなちっぽけなことを真剣に考えてるんだろうって思うことが多いんですよ。そんなとき、世の中は適当さで救われることがよくあるんです。
ひ:なるほどね。
鷹:うん、そんなのどうでもいいじゃん、適当でいいんだよ、っていうことが多い。真面目に考えることはもちろん大事なことだけど、でもそこを適当に考えることで乗り越えられることって人生多いと思うんです。真剣に考えすぎるとすごい狭い路地裏に入っていっちゃって、抜け出せないことがすごく多い。あと若い人たちを見てて思うのは、選択肢が非常に少ないってことですね。だから、例えば目の前に壁があって、壁にぶつかって道が左と右しかないというときにどうするか。俺たちはふざけた時代を生きてきた人間なんで、壁を登った向こう側っていう選択肢を考えるんだよね。左と右しかないっていうのは現代人の考え方で、本当は壁を登ってもいいはずなの。今の教育にはその馬鹿げた発想がないでしょ? 非常に2択的な教育を受けているけど、それ以外の3番目の答みたいなものがこれからの社会にすごく必要だと思うんです。
ひ:その話めちゃめちゃ共感できるなあ。座右の銘にしたいくらい(笑)。
鷹:ははは(笑)。
ひ:みんな意外と真面目なんだよね。だからね、子どもの学校で将来の夢とか言ってても、今だと「バスの運転手さん!」みたいな素朴なヤツが出てこないんだよ。「お金持ち」とかさ、うん、そんなリアルな答えしか出てこないの。金がないわけじゃないよ、俺たちが子どもの頃よりも絶対に金があるんだよ。美味いもん食ってるし、温かいもん食ってるくせに「金かい!」っていうのは思うね。俺たちの頃には、金もないし冷たいメシ食ってるのに「ロケットに乗ってみたい」とか(笑)。
鷹:うん(笑)。なんか今の大人から見ると、若いヤツってすごい不真面目なヤツがすごい増えてるように見えてるかもしれないけど、俺から見ると真面目すぎなんだよ。俺たちは「親父、ウチはいつカラーテレビがくるんだよ」とか「エアコンつかないの?」とか、そんな時代に暮らしてたから、なんか感覚が違うんだよね。エアコンが来ることが大事件で、朝から早起きして家の中を大掃除しちゃったりね(笑)。
ひ:でも、ウチにカラーテレビが運ばれてくるとかステレオが運ばれてくるっていい光景だよね。
鷹:そんなことで大騒ぎしてバカみたいな話でしょ? でもその光景には悪いものが浮かばないじゃない? 映像として。そこがすごく大事だと思うんですよ。

■この女とできない理由はあるか?
鷹:ところで仕事に関して、お互いに20年近くやってると、昔よりもすっと引いて見られるようになったと感じません?
ひ:うん。ホントそうだよね。曲書くにしても詩を書くにしてもレコーディングするにしても、昔はもっと対象に近い目線で一所懸命に完璧なものを作ろうとしてた気がする。でもそれはそれで、若いからできちゃうんだよね。
鷹:うん、若いときはできるんですよね。
ひ:でもそのときは「すごいものができた」と思うんだけど、何年か経ってそれを聴き直してみると、やっぱり適当さが足りないんだよね。聴いていて楽しくないし、ギスギスしすぎる。だからあれだね、美味いものもずっと食わされるとよくないってことだと思うんだよ。
鷹:(笑)。
ひ:美人とつき合いすぎるのもよくないっていうかね。たまにはすごいブスとつき合ってみると世の中のありがたみがよくわかる。
鷹:そうね(笑)。
ひ:これは経験してこないとわからない部分でね、適当にできるようになってこそ長続きできるし、それを極めるヤツが一流になれるんじゃないかなって思うのね。
鷹:僕も人からは「ブス専」って言われるほどで、いわゆる「ブス」のほうが好きなんですよ。やっぱりきれいなバラには刺があるし。男は度胸女は愛嬌だなと(笑)、心の底から思ったことが何万場面もあるわけ。そうするとなんかチチがデカいとかも別にそれがどうしたの?という感じになってくるんですよね。
ひ:それはAV業界に入ってからそうなったの?
鷹:いや、もともとブスでもガンガンいってましたね、業界に関係なく(笑)。
ひ:わはは(笑)。
鷹:もう、20歳くらいの頃からガンガンいってましたから。でもね、その経験が今の仕事に役に立ってるんですよ。普通の人の考え方って「この女と(セックス)できるかできないか」ですよね。
ひ:うん。
鷹:お顔よろしい、スタイルもよろしい。「この人とならできる!」ってことになるじゃないですか。でも俺は女性を見るときまるっきり逆なんですよ。「この人とできない理由はあるか」って考えるの。
ひ:なるほどね(笑)。
鷹:そうするとね、ないんだよ。絶対にできない理由なんてないんだよね。人間の股間なんて自分の想像とぜんぜん関係ないもんね。「ちょっと不細工だな」と思ってもそういうときのほうが元気がよかったりすることがあるのよ。これが現実なの。それを自分の心の中で否定しちゃダメ。「なんでこんなブスでこんなに元気よくなっちゃったんだろう…」って考えちゃダメなの。考えるからインポになる。そうじゃなくて、「あ、そういうものなのか」と。
ひ:受け入れなくちゃダメなんだ?(笑)
鷹:俺よく言うんだけど、「こんなおばちゃんじゃ勃たない」って言い切るヤツほど絶対に勃つから。そうやって、やる前から無理とか言ってるヤツはダメですね。「いや、ババアだと思っててもすごい上手で元気よくなったりすることもあるかもしれないですねえ」って言えるヤツが悟ってるヤツ。
ひ:うんうん(笑)。
鷹:「絶対」はないのよ。だってカーテンがあってさ、股間だけ向こうにいってて、「あ、すっごいうまいな」ってカーテン開けて80歳くらいのおばちゃんだったら、もう言い訳できないじゃん(笑)。だからまともな考え方から入っていったら無理ですよ。性的なことだと特に適当さが大事になってくるんだよね。世の中にはイったことがないっていう女がゴマンといて、そこで真面目にがんばってイケるんだったらみんなそうするのよ。でもそこの答って全部逆のところにある。「イケないときはしょうがないか」っていう適当さが大事。それは男にも言えることで、小さいとかってずっと悩んでいても打開策がないよね。「ちっちゃいからしょうがないか」っていうところから道は拓けるわけで(笑)。
ひ:そうだね。
鷹:そういうスタンスって、実は音楽もいっしょじゃないですか? 例えばすごく気合いを入れて「今日のライブは絶対に成功させる」みたいな。
ひ:それはもう、絶対に失敗する!
鷹:ですよね(笑)。
ひ:レコーディングのときもね、本番で「よーし、今から録るよ」っていうとすごい神経質なものしか録れなくなってしまうことがよくある。逆に「リハーサルだけど最後までやってね」って言ってこっそり録るとすごくよかったりしてね。
鷹:それわかるなあ。要はよい仕事をするっていうことは、力じゃないんだよね。俺、自分もバンドやっていたから思うんだけど、楽器で例えば手首の力を入れて速く弾くっていうのは不可能でしょう。力を抜かないといいプレイはできない。
ひ:うん、力の抜き方っていうのは、ホントに難しいことだと思うよ。そういう感覚を知っているヤツ、上手にできるヤツが生き残っていくし、格好良く見えていくんだろうなっていうのを常に思ってるんだけどね。

■基本の寿命が200歳なんですよ
ひ:鷹さんもカラダが資本の業界だけど、肉体的にはどう?(笑) 同じくらいの歳だけど。
鷹:周りから変わらないって言われるけど、自分が一番よくわかってる。やっぱり若いときと比べると変わってますよね。
ひ:やっぱりそうだよね。そういうところでの危機感みたいなものはある?
鷹:いや、カラダの使い方の問題だと思いますね。例えるなら極めてゴルフなんですよ、僕らの仕事って。
ひ:ゴルフ?
鷹:うん、ゴルフってジャンボ尾崎みたいに50歳超えたオヤジもできるでしょ。
ひ:できるよね。
鷹:でも、サッカー選手は50歳超えた選手はいないじゃない?
ひ:うん。
鷹:でも、セックスという言葉を聞くと、みんなもうサッカーとか野球みたいな感覚になるんだよね。
ひ:そういうイメージがある。
鷹:でもそれは客観の問題で、主観からいうとゴルフなんだよ、セックスって。簡単に言うと、体力はそんなに使わないけどメンタリティを鍛えたら50歳でも優勝できるぞみたいな。
ひ:なるほどね。カラダで勝負、みたいな部分がロックンローラーよりももっとあるかなと思ってた。今の答えは予想できなかったな。
鷹:10年くらいやってそう思いましたね。若いときはわからなかった。だって昔は40歳のオヤジはセックスとかしないだろうなみたいな感覚があって。でも今の俺らは普通にセックスしてるんだよ。40のオヤジだけど。だから今は50のオヤジでも60のジジィでも普通にできるんじゃないかって思う。
ひ:じゃあまだまだいける感じなんだ?
鷹:うん、一応俺の目標は、基本の寿命が200歳なんですよ。
ひ:(笑)。
鷹:いつも俺思うんですけど、20歳で成人式迎えたギャルがよく「もうおばちゃんになっちゃった」みたいな話をするでしょ。それは、その人が基本的に人生40年だって思ってるからなのね。
ひ:なるほどね。
鷹:その人の頭の中の生涯人生っていうのは40歳が基準で、だから「もう半分きたからババァ」だと思うわけ。普通の人たちも80歳を基準にしてるから、40歳くらいになると「そろそろ折り返し地点にきました」みたいな話になっちゃう。でも、俺の場合は基本が200歳だからね。200のうちの40いくつっていうと、まだ4分の1くらい(笑)。まだまだ先も長いし、まだまだ子どもだと。これから学ぶことも200歳まで生きる間にはいっぱいあるだろうと。そう思うと気楽なんだよね。
ひ:いいね、俺も鷹さんみたいになりたいわ(笑)。
鷹:200まで生きる保証があるわけじゃないけど、200まで生きられないっていう保証もないからね。
ひ:そりゃそうだ。途中で死んだら事故だと思うしかないね(笑)。
鷹:でもコレクターズもステージではかなり体力使うんじゃないですか?
鷹:うん。俺やっぱりオヤジががんばってる姿が好きなんだよね。それはロックスターだけじゃなくて、例えばホンダを作った本田宗一郎とか、あのおっさんがやってた姿だって汗まみれで、いつだって俺の中の大人っていうのは必ず汗まみれなんだよ。汗まみれじゃないとかっこ悪いんだよ。だから俺も50歳になっても汗まみれで熱唱してないとダメなの。そこでボサノヴァとか歌ってたらダメなんだよ、俺は。
鷹:それは、俺もそうだけど、学歴社会に反撃して生きてきた若者の考え方だよね。
ひ:絶対そう思う。
鷹:学習院でバイオリン弾いてるヤツはイヤなのよ(笑)。いい大学出て官僚になったりとか、IT業界で社長になるんじゃなくて、やっぱりドライバー握って油まみれになったヤツが社長やってるから本田宗一郎に憧れるんだよね。
ひ:そういうこと。世代的に俺たちそこがいっしょだと思うよ。そういう汗まみれ、油まみれの大人を子どもの頃からずっと見てるから、その引っ掻き傷はデカイよ。だから俺も「じゃあちょっとこの辺で座って歌わせてもらいます」みたいなことはできないんだよな。要所要所で力は抜いてるけど、そんときでも顔は踏ん張っていたい(笑)。
鷹:ははは(笑)。
ひ:それがやっぱり俺たちの世代の一番いいところだと思ってるんだけどね。

■社会っていうのは変なヤツがいっぱいいるのが普通だからね
鷹:あといつの時代もね、人に迷惑をかけないで生きるっていうのは大事だと思う。でも俺たちの時代は人に迷惑をかけないっていうのは、迷惑をかけないために周りとコミュニケーションをとっていく、要するに自分の手のうちになるべく大勢の人を入れることが「迷惑をかけない」ってことだったのよ。なんかあったときに助けてくれたり、迷惑かけたとしても「ごめんね」で済むような関係を作るってこと。それが今の人たちは逆。人に迷惑をかけないっていうのを関係を遮断することだと思ってるんだよね。
ひ:他人と関わらないってこと?
鷹:うん、でも俺から見ると、そこが一番大きな間違い。だから「向こう三軒両隣」って言うじゃない? 「すいません、醤油ちょっと借ります」っていうのは迷惑かけてるようで実はかけてない。それはなぜかというと、自分の手の範囲内にあるからなんだよね。
ひ:その話に関連して、ひとつ俺が思ってたのは私立の学校のこと。周りの状況を見ててもそうだし、自分が子どもを持っても思うんだけど、いまは自分の子どもを私立の学校に入れて、トラブルから避けて育てようとしてる人がすごく多くなっちゃったでしょ。これによって子どもは狭いコミュニティだけしか知らずに社会に出されちゃう。実はすごい残酷な育てられ方だと思うんだよね。
鷹:社会が初めての社会になっちゃうんだ。
ひ:そう。公立の学校は風紀が悪くてろくなヤツがいないじゃない?(笑) そこでガキのうちからとんでもない連中とつるんで、それで大人になって、そっちのほうが自然なわけよ。社会っていうのは変なヤツがいっぱいいるのが普通だからね。
鷹:ガラの悪いやつといっしょだと、そこでのうまい生き方を自然に学んでいくでしょ。そういう訓練の場が今の教育にないんだろうね。
ひ:うん、それが社会に出てからじゃ遅すぎる、もうガキのうちからやっぱりね、怖いヤツにどう取り入るかっていうことを覚えていかなきゃならないよね。
鷹:学校の教師だってそうだよ。そういう上品な環境でずっと育って教育学部に行って、先生になって初めて社会を知るから、子どもとコミュニケーションがとれない。
ひ:子どもにいじめられて登校拒否になる先生がいるっていうからね。やっぱり教師になるのは30歳から。それまではいろんな職業やって、それから適性試験を受けて教師にならないとね。そういう人じゃないと生徒に教えられることがないよね。
鷹:女に免疫ないヤツが、いきなり女子高の教師になったらそりゃケツ触っちゃうだろうしね。教師になる前にケツくらい触っとけっていう話だよ(笑)。
ひ:ホントだよね。そう思うよ。
鷹:そういう時代背景の変化は、男を見るより女を見たほうがよくわかるかもしれないね。女のほうがはっきりしてるし、生きていく力が強い。女は200歳まで生きるヤツいるかもしれないって思うもん。やっぱりクソジジィになっても「最近小便しに行くとよ〜、便器出るよりズボンの中の量のほうが多いんだよ〜」とか言ってるオヤジがいいよね。そういうヤツが長生きできるんだと思う(笑)。
ひ:言えちゃうヤツがね(笑)。
鷹:それを真剣に悩んでいるヤツは長生きできない。
ひ:あはは(笑)。
鷹:そういうジジィになりたいんだよ。
ひ:なりたいね(笑)。鷹さんは大丈夫だと思うよ。
鷹:俺は今から言ってるもん。「便器でジャーって出すより、しまってからズボンの中で出る量が多いんだよ、最近」って言ってる(笑)。
ひ:いやー、鷹さん最高だね!(笑)


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